三景

電車に乗って読書の途中。ふと隣の客を眺めてみると、洋書を読んでた。多分、指輪物語。僕の目の前に立ってる人はドストエフスキーの鰐を読書中。反対側の席に座ってるご婦人は英語の雑誌を観てた。なにこの駄目インテリゲッチャ的空間は? そのときの僕の読書と言えば大澤真幸であって、久野収にでもしておくんだったとプチ後悔。

仕事で遅くなって小腹も空いたのでラーメン屋へ。席について注文も終わって、ふと周りを見渡すと他の客はみんな文庫本を読んでる。えっ?なに?マンガ雑誌あたりを読むのがラーメン屋の流儀じゃないの? でもなんとなく僕もいそいそとカバンから「ハローサマー、グッドバイ」を取り出して読んでみた。この場は引き分けだね。うむ。

コンビニでボーっとしていたら、黒ずくめの服装の女子が二人入店してきたのが目に入った。良く観るとゴシックファッション。厚ぼったい生地の服で、「へえ、ロリータじゃないゴシックってなんだか珍しいような気がするなあ」などと様子を伺っていると、女子の一人が「俺は〜」と喋ってるのが耳に入ってきた。自分のことを「俺」とかいう女性って田舎の婆ちゃんみたいだなあとか思いましたが、一人称に変にこだわるのも青春の一ページってものだわね。

街を歩いてると色んな風景に出会うねえ。