権利ビジネス

『「権利を囲い込むことで利益を生む」ことが、いつまでできるのだろう』http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20090415/192049/

 兎にも角にもCDが売れなくなってるわけです。正確にはマスで売れなくなってる。ダウンロードサイトだの着歌フルだのを考えれば音楽市場ってのは言うほど縮小してないのかもって思うんですけど、ともあれレコード会社の取り分ってのは下がってる。今まで傲慢に中間搾取してきた報いだザマミロって気分ではある。

 ところで。上の記事のタイトルは多分確信的ではあるんでしょうけど、ミスリードですよね。レコード会社が囲い込んできたのは権利ではなくて、アーティストですよね。売れるアーティストを囲い込んで、さらに将来への投資として売れないアーティストも囲い込んできた。広告と流通をレコード会社が握っちゃってるから、どこかに所属しないことにはプロで音楽活動をするのは困難だったわけです。

 それがネット時代になって誰でも自作曲を頒布できるようになって、プロもアマチュアも同じ土俵で勝負する時代がきた!自由化万歳!なんですけど、実はあんまりハッピーな状況でもなかったりします。CDが売れなくてレコード会社の体力が減少してるから、売れないアーティストを囲い込んでる余裕がなくなってるんですよね。音楽活動で金を稼ぐのは容易になったのかもしれないけど、音楽活動で飯を食うのは難しくなってるというわけです。

 しかしまあ、大人ってのは色々と考えるもんで、音楽を売って金を得ることができないなら他の方法でとなるのですが、それはもう使用料で稼ごうってなるしかないよね。でさ、ニコ動で作業用BGMを聞いてる貴方から音楽代を取ろうと思ったら、みんな大好きJASRACに頼るしかないわけですよ。正確には包括契約と言う形でニワンゴの売り上げから徴収するんですけど、その原資は僕らのプレミアム料金からもでてるわけよ。つまりさ、あなたがCDを買わないでニコ動で音楽を済ませてればJASRACの発言力が強まると言う世の中なわけ。あなたはJASRAC嫌いなんでしょ? 皮肉なもんだね。

 ちなみに僕はJASRACは嫌いじゃないです。ボカロカバーをやってる僕にとってはある意味では味方になる存在ですし。去年のちくわ騒動の時に創作者ってのは権利濫用のモンスターになりうるんだってわかったからね。間にビジネスマンが入るならそれが一番なのかもですよ。

 ともあれ、僕はこれからはむしろ権利ビジネスの時代になるんじゃないかなって思ってるのです。なにしろモノが売れないですからね。別のところで稼いでいかなきゃ飯が食えないもんね。色んな分野で二次利用に対して厳しくなっていくんじゃないかな。コミケで売る同人誌に使用料が課せられるようになるって未来も意外にあるのかもよ? マンガは売れなくなってるわけですしね。アニメも期待していた海外が失速気味で、国内で稼ぐ方法を考えなきゃならんでしょうし。同人サークルががんがん訴えられるっつーのは見たくない光景ですが、大人はいざとなれば色々やるからね。

 ということで、著作権も音楽業界も同人世界も詳しくない僕が適当なことを書いてみた。