大人のピアノ教室


 ふと思い立ってピアノを習い始めてから、はや4ヶ月。教本一冊目がもうすぐ終了しそうです。個人レッスンってやつは比較対照がないから、進度が速いんだか遅いんだか、さっぱりわからん。しかしまあ、向上心とかそういうものに欠ける俺としてはまあまあのペースなんじゃないかと。俺の根性量は拳三四郎(仮面ボクサー)と同じくらいです。

 実際ところ、そんなに練習してないんだよねえ。若い頃にピアノやってて年をとって復帰組の人なんかはガンガン練習して腱鞘炎になったりするらしいですが、僕はそういうのとは無縁で。僕は練習しててちょっと手が痛くなると、気がついたら練習をやめてカルピスソーダをのんでいるくらいの勢いです。いや、カルピスソーダは飲まないですけど。ていうか、このネタは誰もわかんないよ。

 しかしながら、中年になってゼロから楽器を始めるというのはちょっと得な感じもありますね。本来なら「若い頃のようには手が動かなくなった…」という年齢なのであって、表現力とかそういう方向に向かうんでしょうが、俺は技術力が向上してくからね。今までできなかったことができるようになる喜びってのはやっぱりあるよね。60くらいまでは俺は上達してくんじゃないかなあ。よくわからんけど。

 さりながら、モノにならないのも確かでありまして。俺は今わの際には「一度はリストを弾いてみたかったのう…」などと呟きながら死ぬんだな、きっと。俺の墓にはハンガリー狂詩曲の楽譜を入れておくれ。あの世で続きをするから。まあ、そんな暗い話はともかく、独居老人になるだろう自分の老後の趣味のためって意味合いもピアノレッスンにはあったりもします。60過ぎくらいからどんどんと楽譜を忘れて、また新鮮な気持ちでピアノを弾けるようになったりするんだろうか。

 てな感じで、定年退職するときは上等な電子ピアノを自分に買ってあげようなどと考えてる俺なのでありました。年をとって何かを始めるのも悪くはないよ、うん。一向に上達しない自分を許し、かつ、それを笑い飛ばせればって条件付ではあるけどね。